フランスから―環境とアートのブログ

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フランス、現代文化政策の終焉か?

新文化省にみる現代文化政策崩壊のきざし - ニコラ・サルコジが大統領に就任した年(2007)の12月に発案されていた文化省の再構成が、2010年1月13日、実施の運びとなった。それまで10の各文化・芸術分野の専門の管理局があったが、4つにまとめられて「見通しの良い管理構成を持つ目的で」あたらしい文化省が発効した。(政府の文化エキスパートの放逐と文化行政部の縮小とみられる。) 新たな文化省の構成は以下のとおり。 ・Le secrétariat général(事務総局)、 ・La direction générale des patrimoines(文化遺産局)、 ・La direction générale de la création artistique(芸術創造局)、 ・La direction générale des médias et des industries culturelles(メデイア・文化産業局)、 省間庁: Délégation générale à la langue française et aux langues de France(フランス語とフランスの言語総合庁) 地域の文化省: ・Directions régionales des affaires culturelles(DRAC 地域文化振興局) ・Services départementaux de l’architecture et du patrimoine(建築文化遺産に関する県内サービス) ・Les établissements...

アクチュアリティ

サルコジ大統領、支持率21% - きのうのフランス2テレビ発表の国民アンケートによると、就任3年目で、サルコジ大統領の支持率が大幅に落ち込み、21%の最低を記録した。「信頼できない」という国民は71%にものぼる。2007年の大統領選出のとき65%だった支持率は一年後に半減。3年後の今日は、はっきりした不満の声が大勢を占めている。これにたいしEUの政治批評家たちは、大きな負債を抱えたEUのリーダーシップを執るべき主要国の大統領が国民の信頼を欠いていることに大きな不安を感じる、と口をそろえて表明した。 猛暑 - フランス全体を高気圧が覆い、気温が上昇中。きのうは全国いっせいに30度を越した。きょうは、パリで33度、ストラスブール34度、ボルドー37度。今週末はさらに上昇するもよう。フランスの2003年の酷暑で15000人が死亡(きのうのフランス2テレビが数字を引用した)していらい、フランスは酷暑レベルを設定し、危険度が上がると各病院や養老院施設などで特に暑さに弱い病人やお年寄りに特別対策をとるよう指示をくだすことにしている。早速、健康省のロズィーヌ・バシュロ大臣が酷暑対策に乗り出す姿勢をみせている。 My opinion - 2003年の夏と2010年の夏を比べると、フランスは社会のようすががすっかり変化した。かんかん照りでも石の建物の中に入れば涼しく過ごせたフランスは、2003年以前はクーラーや扇風機はおろか、扇子ですら「存在しなかった」。「存在しなかった」とここでかぎ括弧をしたのは、フランスのマーケットのことを指したいがためである。日本から来た日本人が「西日がひどいので扇風機を買いたいのですが、どこで売ってますか?」と訊きに来たことがあったが、残念ながら「どこにも売ってませんが、注意していれば見つかることがあるかも・・・」とこたえたことがあった。20世紀までのフランスでは夏に対してこれだけ鷹揚でいられたのだ。突然の猛暑が訪れた2003年は、40度を越すアパートの中で、空調をすることも知らない人たちがたくさん死んでいった。信じられないことだがこうして亡くなった人の数15000人。気温の上昇のみならず、必要の無かったものが突然必要になったときの社会と人間の習慣のずれが桁違いだったことが、この思いもよらない惨事のもうひとつの大きな要因であったと私は考えている。さすがにこの経験で、翌年からフランスのマーケットへ扇風機が導入され、現在ではクーラーもあちこちで買えるようになったから、いまや2003年のような驚くべき数字とは縁が切れたはずであるが、はたして地球の温暖化はこれからどのような災害をもたらすのやら。予測のつけようもない。(S.H.)