フランスから―環境とアートのブログ

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アクチュアリティ

暴風雨ジョアキム - 大西洋からの大きなジェットストリームが暴風雨を運び、現在、西南のジロンド県から東部アルザス地方やアルプス方面へフランスをたすきがけに横切リつつあり、全国各地で立ち木が倒れたり浸水などの被害が続出している。フランスの半分がレベル2、またもう半分はレベル3(最大レベル)の暴風雨警報・注意報が発令された。最大風速を記録したのは、ピュイ・ド・ドーム県で毎時210km。パリは毎時95kmだが、ロワシー・シャルル・ド・ゴール空港の飛行機の発着に影響が出て130便あまりが遅れ。また線路に落ちた無数の枝の処理でフランス鉄道SNCFの運行にも1時間から2時間の遅れが出た。モルビアンの海岸では貨物船が岸に吹きやられて座礁し、重油が流れ出して海岸を汚染。また大規模な低気圧の通過で気温が下がる見込みで、マッシフやアルプス方面で今夜は30cmの積雪があるもよう。停電に見舞われている30万世帯が寒い夜を越す。 数字 : ・2012年大統領選に向けての世論調査で、野党社会党候補フランソワ・オーランドが36ポイントの世論を獲得しているのに対し、現職大統領のニコラ・サルコジは25ポイントと大差が開いている。市民の購買力の低下、失業者増加、フランス経済建て直しの見込薄、また暴動や強盗の増加による社会不安などによる現大統領の不人気が大きく影響をしている。 ・2011年9月、フランスの失業率は9.7%。2012年6月には10%を越すという。 ・2012年上四半期は、-0.1%の景気降下がINSEEからはじき出され、公式にフランスの景気後退が発表された。 ・2011年下半期で、1万4千の雇用が消滅。 ・大手クレディ・アグリコル銀行、アレバ社、プジョー・シトロエンPGSで大量の人員整理が行われることが確定。クレディ・アグリコル銀行は、ソシエテ・ジェネラルやBNPパリバと並ぶ大手で、他の二行が雇用削減をしたのに対し影響がないといわれていた最後の砦ともいうべき銀行。アレバ社は、福島原発事故の影響を受けてとくにドイツの原発全面廃止政策による将来の見通しの悪さによるもので、退職者がでたあと新人採用をしない方向で削減が始まるもよう。 ・暴風雨を買う?! 1950年代から暴風雨に名前がつけられるようになったが、近年は暴風雨を買って自分の名前をつけることができるのだそうだ。暴風雨ジョアキムも、ジョアキムさんが1年前に買収したもの。ちなみに暴風雨の値段は199ユーロ。 (フランス2TV、TF1TV) ・農耕地の消滅も駆け足 -この数十年のフランスのアーバニズム(都市化)は駆け足で進み、農業用地が激減している。なんと、一秒で26平米の農耕地が消滅していく計算だと言う。(2012年12月21日追加、フランス2TV、フランスアンフォ・ラジオ)

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ユーロ圏6カ国が発行体格引き下げの監視下に - 負債が拍車をかける経済危機の真っ只中にいるヨーロッパ連合の、現在発行体格をAAAをつけられているフランス、ドイツ、オランダ、オーストリア、リュクセンブルグ、フィンランドの6カ国が、世界市場における格付けを認証するスタンダード・アンド・プアーズ社の監視下に入った。先にスタンダード・アンド・プアーズ社によって、すでにアメリカの発行体格がAAAからAA+へ引き下げられており、今回スタンダード・アンド・プアーズ社は、これから90日を目処に発行体引き下げを決定するかどうか慎重にヨーロッパの行方を監視していく方針だという。ヨーロッパの経済危機が深刻になるなかで、ドイツとフランスがイニシアチブを採りながらあらゆる方策が練られつづけているが、先の見通しがなかなかつかない市場不安に、発行体格の格引き下げの射程内に入ったことでヨーロッパではさらなる危機感が募っている。特にフランスは、AAAからAAに、つまり二段階の格下げが行われるのではないかと危惧されている。 ベルギー、541日ぶりに首相誕生 - オランダ語圏とフランス語圏の対立で首相が辞任してから無政府状態が続いていたベルギーで、541日目の昨日、ようやく新しい首相が就任して政府の国務再開の見通しがついた。新首相はフランス語圏の社会党で、エリオ・ディ・ルポ(Elio Di Rupo, 60歳)。 もう一つの太陽系で、居住可能な惑星発見 - NASAの発表によると、2009年にNASAが打ち上げた探索機が地球から600光年のところにあるケプラー(Kepler)22-bと名づけられた太陽系で、地球環境に似た惑星を発見したと言う。気温は22度あまり。ガスがあり水があることが判明しているが、地球のように硬い地面があるかどうかはまだわかっていない。 (フランス2TV)

ペルーの旱魃

ペルーの旱魃 - 中米はペルーの山奥。地球温暖化で、25年前は真っ白に雪で覆われていた標高4200mの山々から、今はすっかり雪が消えてしまった。以前は雪解け水でラマの放牧をしていたが、水がなくなって牧草も生えなくなりラマの成育もままならなくなった住民たちの半分が他の土地へ移住して行った。そこで、何とか温度を下げて旱魃を緩和させようと、首都リマのエンジニア、エドワード・ゴールドが山々を白く塗ることを思いついて現地に訪れ、住民の手を借りて実行。「白」いペイントは、費用の掛からない、砂、石灰、水、そして石鹸を少々混ぜ合わせたものだが、こうして、サッカー競技場三つ分の面積の岩肌に塗った結果、なんと10度も温度が下がったという。岩の下には氷水がたまり、小川までできた。「なるがままにして、手をこまねいているだけじゃあどうにもならない。何とかしなくちゃ、と思いついたのがこれでした」とエドワード・ゴールド、そして、好結果に大きな期待を寄せる住民たち。しかし、以前のような牧草豊かな沃地をとり戻すためにはサッカー場約50万個分の山を白く塗らなければならないという。石灰を使った安いペイントにしても、10億ユーロに上る費用をペルー政府が出すかどうかは分からない。 (フランス2TV) My opinion: ペルーの岩山は、植物が育たなくなって岩がますますむき出しになり、太陽の熱にさらされて温度が一層上がっているということだろう。岩肌の色を「白」くすることで温度を下げるというアイデアを思いついて実際に温度を下げることができた驚くべき事実は、目からうろこが落ちるように多くのことを教えてくれる。昔、野外の展覧会で、黒いシートを底に張った透明PVCの大きな容器に水を入れたことがあったが、5月の太陽にさらされた容器の水はあっという間に温度を上げて40度Cちかくになり、小さい泡まで出し始めたので驚いたことがあった。電気も火も使わずに、太陽の温度を吸収して溜めやすい「黒」いシートがあるだけで、水がいとも簡単に風呂の湯程度の温度に上がることを発見したあと、実は登山家たちが山の中で湯浴みをするために黒いシートは欠かせない荷物の一つであることを教えてくれる人間がいた。「環境」と「色」とは人間の知恵を介して実生活に容易に結びつく可能性をひめている。はたして、もっと積極的にこうした知恵を発展させていけないものだろうか。(S.H.)

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欧州10カ国で、謎の放射能反応 - フランス、ドイツ、ルーマニア、チェコなど各地で放射性ヨウ素が検出された。微量で人体に影響はないというものの、ヨーロッパ各地に広がるほどの放射性ヨウ素の出所は不明だ。どこかの原発で核燃料の事故があったか、あるいは製薬関係の事故が想像されるが、いずれにしてもどこからも事故の発表はなされていない。(フランス2TV) ・2011年11月17日になって、ヌーベル・オブセルバター(電子版)によると、11月11日から通常より多い放射性ヨウ素131を各地で検出した件について、IAEAがハンガリーのブタペストにあるアイソトープ研究所からの放射能漏れが原因である可能性が強いと発表したという。

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スタンダード&プアーズ、許せない過ち - 発行体格を決めるアメリカのスタンダード&プアーズが、「誤って」フランスのトリプルAの格下げを発表。あちこちでフランスの格下げが話題となり、ヨーロッパの経済危機を背景にしたフランスの信用を揺るがす結果となりかねない当社の誤りに、ヨーロッパ議会は騒然とした。怒りを表明するとともに損害賠償を要求することになりそうだ。(フランス2TV)

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コンラッド・マーレー、マイケル・ジャクソンの医師に過失致死罪で有罪判決 洪水 - ヴァール、ペルピニャンで一昨夜からの大雨による洪水で多くの家が浸水。死者5名が出ており、今夜も大量の降水が予想され予断を許せない状況だ。 増税 - 食料やレストランに課せられるVAT消費税(TVA)が5.5%から7%へ。一昨日の増税案9%への非難が多く、訂正されたもの。この消費税引き上げによって、来年政府予算不足分のうちの180億ユーロが賄われる予定。 隕石 - 今夜、35年ぶりに隕石が地球へ接近する。その大きさ400m、接近距離は32万5千キロと、月よりも近い。天体観測にはもってこいの夜となる。この隕石を逃すと、次に新たな隕石が訪れるのは2028年という。(フランス2TV)

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社会党大統領候補選挙 - 今日10月16日は、フランス社会党の大統領候補を選出する第一次選。6人の立候補者から、事実上フランソワ・オーランドとマルチーヌ・オーブリィの一騎打ちとなった。伝統的に社会党を支持する地域に人気のあるフランソワ・オーランドが首位を占めるものの、マルチーヌ・オーブリィとの差は僅少。「オーランドそれともオーブリィ?」の質問に、「サルコジに打ち勝つ候補じゃなきゃいけません」とは、投票に来た有権者の声。(フランス2TV昼のニュース) 選挙結果発表 - 社会党の大統領候補決定戦の軍配はフランソワ・オーランドに。270万人が投票した社会党の大統領候補決定選挙の結果は、マルチーヌ・オーブリィの43.2ポイントに対し、フランソワ・オーランドが56.8ポイントを獲得して2012年フランス共和国大統領選挙へ出馬が決定した。(フランス2TV夜のニュース)

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マルクールの核廃棄物溶融炉爆発事故、レベル1に - 9月12日に死亡事故の起きたマルクール(ガール県)の核廃棄物処理場サントラコの溶融炉で、爆発当時処理されていた放射能汚染鉄鋼4トンは、500倍の放射能があったことが分かった。9月30日のフランス放射能安全委員会(ASN)の調査発表によると、溶融炉内部は当初発表の63キロベクレルではなく、30メガベクレルの放射能があったことが分かり、サントラコに大幅な数字の差について説明を求めたという。原子力安全委員会は29日木曜、この事故をレベル1に査定した。 放射能に関する独自な研究と情報委員会 (Criirad)は、「非常に危惧される状況です。この工場が、核廃棄物の管理や計測能力をきちんと持たずに放射線量の過小評価をしつつ仕事をしたということなのかどうか、はっきりさせなくてはなりません」と鋭く非難した。工場の不透明な管理にたいし、地域の協会が起訴し、10月14日から司法関係での取調べが始まる。「だいたい、こういった廃棄物がどこから来たものか、どういう方法で収拾されてどの程度の量ストックされているのかなど、ぜんぜん知らされていないわけですから、心配は尽きません」と近隣の住民。(TF1TV、ラングドック・ルシヨン・フランス3TV) インデアン・サマー - フランス全国、9月下旬から10月初旬は28度から30度という真夏のような陽気で、7月8月天候不順で足が遠のいていたあちこちの観光地が活気付いている。

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上院議員選挙、左派歴史的な勝利 - “Le gauche frappe un grand coup”(左派、大一撃)。9月25日、上院議員選挙が行われ、第五共和制史上はじめて社会党野党連合が与党に2議席上回って勝利した。上院の過半数を左派が占めて野党の進出が裏付けられ、与党の敗退は来年の大統領選挙にむけて大きな障碍となると予想される。 新しい議席数は、左派177、中道22、右派与党148。与野党の過半数転覆のインパクトは政府構成に影響して一部の内閣改造があり、今日スポーツ大臣にダヴィッド・ドゥイエ(元柔道家)が任命された。 #拡大鏡# 議席を伸ばした左派のうち、ヨーロップ・エコロジー・レ・ヴェール(EELV)は4議席から10議席へ。中でも特筆すべきはソウルで生まれてフランスの家庭に育てられフランスへ帰化した43歳のジャン=ヴァンサン・プラセが上院に初当選。共産党古参のロベール・ユー(63歳)、社会党のセルジュ・ダソーが最高年齢の86歳で再選されたほか、上院における社会党グループの議長に、ジャン=ピエール・ベル(59歳)が抜擢された。 与野党の議席数転覆で、ニコラ・サルコジが憲法に導入しようとしていた「黄金率」と銘打った予算組み立て再考法案は規定の5分の3議席が取れなくなり、自動的に流産した。(フランス2ブログ、ル・メトロ) 教育 - 14000人の教員削減が予定されている2012年度に予想される教育条件の悪化を訴えて、現場の教職員の25%(教員組合の把握では50%)が27日に全国デモをおこなう。すでに出産率の増加で小・中学生生徒が激増して教員不足。たとえば小学校では、ハンディキャップを負った子供や落ちこぼれの補修などの専門的な知識を備えた教員が普通教員の補佐をして従来の授業時間のやりくりができていたが、教員削減はこれらの専門教師の職を奪うことが必定となリ生徒側の要求にもこたえられなくなっていくのは明白であるという。 2007年から2010年にかけてサルコジ政権下ですでに5万人の教員削減が行われており、教育の現場ではその対応に追われてきた。これ以上の大量削減は、教室の合併や補習授業の削減などの実質的な支障に拍車をかけることになる。教員の養成に努め教育の質の向上をめざすドイツと比較しても、近年フランスの子供の学業成績は低下の傾向。 サウジアラビアの革命的法改正 - 昨日サウジアラビア国王アブダラが、女性の投票権ならびに地方選挙への参政を承認。(選挙は地方選挙のみ存在する。)この国の歴史上はじめて女性が政治に参画できることになった。女性は運転禁止、手術をしたり旅行をするのも家庭の男性の許しがなければできない。地球上のウルトラ保守の国もようやく近代化へ。(フランス2TV) My opinion: フランス中心のフランスが大きく変化していく。ヨーロップ・エコロジー・レ・ヴェール(EELV)には、フランスで生まれてドイツ国籍を持ちフランスとドイツの両方からヨーロッパ議員に選ばれているダニエル・コン=ベンディット、ノルウエーのオスロで生まれてフランスでキャリアを積み、2012年のフランスの大統領候補としてEELVから出馬するエヴァ・ジョリィ、そしてこのフランス国籍を持つソウル生まれの生粋の韓国人ジャン=ヴァンサン・プラセと、インターフロンティアのメンバーの躍進が目覚しい。国籍だの血統だのなんだかんだの常識がどんどん急速度で覆っていくのを見ることができるのは、こうした「地球全体」を考える時代の寵児のおかげだと言って過言ではないだろう。(S.H.)

建設中の原子炉に欠陥

2016年の完成を目標に建設中の英仏海峡に面するフラマンビルの最大規模といわれる新型原子炉内で欠陥が見つかった。問題の箇所は、ブイグ社が納品したコンクリートで作られた核燃料プールの壁面で、内臓の鉄骨が見えるほどコンクリートが崩れ落ちた箇所がある。核燃料プールは原子力発電所の中枢にあたり、この部分の欠陥が発見されたことで、建物全体の再点検と再建築が必須となる見込み。2012年完成予定が4年延びて2016年となり、予算も最初の30億ユーロから60億ユーロに膨らんでおり、これ以上の財政投入が今後どう検討されるか不明。 この報にグリンピースは、「建設中にこんな重大な欠陥が見つかったからには、あちこち同じような問題が隠れているはず。完全に問題を解消できないないなら、さっさと建設を中止すべきです」。周辺の騒ぎにもかかわらず、フラマンビルの原発の持ち主フランス電気EDFは、一切ノーコメント。(フランス2TV)

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増税 - 急務、フランスの負債軽減のため、政府はきのう、増税の決定を発表した。不動産はセカンドハウスを中心、タバコ、酒類はもちろん、はじめてコーラなどの清涼飲料水にも税がかけられることになり、一斉に間接税増税。遊園地の観覧料値上がり、また特別税として、年間50万ユーロ以上の高所得者を対象に、所得税増税。VAT税や一般の所得税は上がらないが、保険類にかかるの税金が上がることで家計に負担が出ることは必定となった。今回の増税で政府は110億ユーロの節約を見込んでいる。保守全体は、思い切った増税を賞賛。一方、野党社会党のフランソワ・オーランドは、「やっつけ仕事にしか見えず、政府の想像力欠如がありありだ」と批判。 付け加えるならば、サルコジ大統領は金持ちに有利な税法を作り、国の負債処理をしりめに、TOTALやピノ財団、ロレアルなどのトップレベルの高収入者に巨額の税金を「返済」したばかり。今回の50万ユーロ(約6000万円)以上の高額所得者への増税は、政府節約分の3%しか占めず、金持ち優遇の政府姿勢を保ち続けている。一方で保険類の税金が高騰することで、社会保障のうち健康保険制度が返済しない分を補う共済保険が値上がりし、低レベル所得者の家計へ直接の負担が増えた。健康保険の赤字が大きく、国の健康保険の医療費負担率が激減しているため、共済保険による払い戻し分がますます増え、共済保険料も値上がりしている矢先の増税だ。 失業者、3ヶ月続けて増加 - 先月一ヶ月の失業者数は3万6千人。合計276万人の失業者をかかえ、10年ぶりの最悪を記録。ちなみにこの一ヶ月で女性の失業者1.6%増加したのに対し、男性の失業者1.2%増。景気が悪いと女性の失業者が増える傾向にある。失業期間も男性に比べて長く、また長期採用も少なく、全体に男女差別があることを否めない。長い失業で自信喪失する傾向が強い。 DSK、自由に - 8月23日、ニューヨーク市裁判所がドミニク・ストロス=カンの訴追の全面放棄を言い渡した。5月14日、婦女暴行容疑で捕らえられて以来、DSKのニューヨーク検察側からの追及はこれで終わりを告げたことになる(正確には30日後)。暴行にあったと言い張る被害者のナフィサトゥ・ディアロは、祖国のギニアで集団暴行されたことを理由にアメリカのビザを取得したが、集団暴行はまったくのつくりばなしであることが判明。またアメリカの扶養家族手当を受けるために娘が一人しかいないにもかかわらず、2人の子供がいるという虚偽の申請をしていた。実生活も、麻薬の運び屋との交渉があるなど、交友関係に不審な点があり、また事件の陳実にいたっては、毎回の召還で証言が微妙に食い、検事側に不信感を植え付け始めていた。アメリカの陪審員制度では全会一致が原則で、DNA鑑定などの物的証拠があるにもかかわらず、検察側がリスクを回避したという見解がジャーナリズムの大勢を占めている。 ニューヨーク検察の追及はこれで終わったようなものだが、ナフィサトゥ・ディアロは8月中旬にDSKに対し、賠償金を要求する民事訴訟を起こしており、DSKへの民事追求はこれから賠償問題で続く見込み。 フランスは、ナフィサトゥ・ディアロが検察に召還された22日月曜から、DSKのニュースで沸き立っている。一方でアンケートによるDSKの支持率は急降下。世界のトップの地位、名誉、人気のすべてを喪失した。(フランス2TV、BFM TV)

アクチュアリティ、消えたジョコンド-盗難100周年

「消えた女、ジョコンド」、盗難百周年 -1911年8月21日、ルーブル美術館に模写をしにきた絵描きルイ・ベルーが、レオナルド・ダ・ビンチの作品「モナ・リザ」がなくなっていることに気がつき、大騒ぎになった。最初は誰かの冗談でルーブルのどこかに隠されたものと考えられあちこち物置などを捜索したがどこにもなく、また第一次世界大戦前夜のことでもあり何らかの政治的工作が行われたものという憶測までが飛んだが、当時ルーブルで仕事をしていた職人全員を召還して現場の指紋照合を行ったところ、盗難前日、「モナ・リザ」の額縁のガラスを取り替えたイタリア人ガラス職人であるビンチェンド・ペルージアが出頭しなかった。この男こそ、「モナ・リザ」を盗んだ張本人で、当時のパリのアパートに持ち帰り2年間隠し持っていたという。1913年フィレンツェで「モナ・リザ」が見つかり、同年12月に作品はルーブル美術館へ無事帰還する。ペルージアは禁固刑一年。「モナ・リザ」を祖国に連れ戻そうとした、もよう。 JMJ、カトリック世界青年大会、150万人集結 - 8月16日から21日まで開かれたカトリック世界青年大会は、マドリッドの飛行場に150万から200万人の熱狂的な若者を集めて大盛会を記録した。マドリッドは大会最終日の今日、41度の猛暑。サッカー場48個分の広大な飛行場を一部の隙もなく埋め尽くした若者たちは、ベネディクトス16世教皇からの聖体拝礼を全員が受けることはできないにしても、酷暑、また昨夜は雨の中で動かず熱心に教皇の演説に聞き入り、マドリッド大会に参加したことに大満足気。 タブレットPC、コンピュータを超える - 米コンピュータメーカーのパッカードが生産から手を引くことを明らかにして、時代の転換が到来したことを告げた。タブレットPCがコンピュータの販売速度を越して、タブレットPC時代へ。30年前に走り出したコンピュータがこれで消えるわけではないが、コンピュータ時代のピークが過ぎつつあることは確か。テクノロジーの世代交代の波は足早に世界を駆け巡っている。 犯罪激増に苦しむマルセイユ - 一日平均の暴力事件数26件、2年間で殺人事件50件。2010年の強盗事件数800件で、例年の40%増。マルセイユ市は、「お年寄りの方は事件にあわないよう、夕方5時以降は外出を控えるように」と呼びかけている。マルセイユ市警は、「警察官が300人から400人不足している」。内務大臣が100人の国家:警察官の増員を決めたが、「それではまったく足りない」、というのが現場の主張だ。(フランス2TV)

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ヨーロッパ市場暴落、ブラックサーズディ - 7月18日木曜、ヨーロッパ市場、軒並み暴落。パリ、フランクフルトは-5%、ミラノ、-6%、ロンドン、-4%。翌19日も下落進行。ヨーロッパの負債に上乗せしてアメリカの景気後退が大きく影響しているもよう。欧州連合の負債国救済策で、返済不履行にあえぐ銀行の倒産がますます危ぶまれている。フランスの銀行も軒並み株価下落。すでに土台が脆弱化しているという醜聞がひろがったソシエテ・ジェネラル銀行が最悪の-12.34%を記録した。 フランス南部、猛暑 - フランスの南半分が南からの大きな高気圧に覆われ、今日は、最低気温20度、最高気温40度を越す地域が出ている。このウィークエンドはバカンス帰りであちこち渋滞。高速での熱波に注意。(フランス2TV) My opinion: 6月の猛暑、7月は冷夏で自動の暖房が入るほどの低温となり、また昨日から温度が上がり始めて今日は40度。一週間ほど前、アメリカの野外コンサート用大テントがコンサート中に暴雨風雨で吹き飛ばされ、また昨日はベルギーで同じように突然嵐が襲い野外コンサートの鉄のストラクチャーが逃げ惑う観客の頭上に落ちて死傷者が出た。フランス語で、鎖(くさり、chaîne)という単語を使って、物に脈絡をつけることをenchaîner (ひとつひとつの輪をつなげて鎖にすること)という単語を使うが、いちどつけられた脈絡がばらばらになることをdéchaînerといい、翻って、爆発するとか荒れ狂う、という意味になる。まさしく、経済も、天候もこのdéchainerに当てはまる世界の状況だ。ちなみに異常気象は、des déchaînements climatiques。鎖が切れた地球はどこへ行くのやら。人間の運命は地球が救えるかどうかにかかっている。(S.H.)

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冷夏 - バカンスに入ったとたん、フランス全土を冷気が包んだ。あちこち雨、アルプスでは標高2600メーターで雹、続いて降雪。アルプス山岳地帯で転車競技を楽しんでいた約200人が、冷気を超えた寒気に襲われ消防隊に救助された。自転車競技参加者はショートパンツに半袖の軽装。大雨のあと気温が急降下して3度まで下がり、雪に見舞われるなどして、寒さで体が硬直し動けなくなったため。 ブルターニュ、太平洋岸はスペイン国境近くまで平年より7度から5度低い気温に、海水浴をする人はほとんどいない。ドイツやイギリスからの旅行者も、悪天のフランスに飽き飽き。海岸近辺の商売は上がったりだ。冷夏は7月下旬まで続くもよう。 マルチーヌ・オーブリィ、文化予算倍増を提言 - 雨のアヴィニョン・フェスティヴァルを訪れた社会党のマルチーヌ・オーブリィは、5年をかけて文化予算を30%から50%増加することを提言した。フランスは「文化の多様性」に立ち返り、文化を活発化しなければならないとし、現政府、ことにサルコジ大統領の文化離れを批判した。 ちなみにフランスの文化予算は減るどころか増える一方だという。2011年の文化予算は、75億ユーロ。うち、3億7500万ユーロは、歴史建造物へ、6億6300万ユーロが舞台芸術に、4億2000万ユーロが(困窮状態の)報道関係へ費やされている。(フランス2TV) My opinion: マルチーヌ・オーブリィのみならず社会党議員たちのなかには、現代芸術へ思いを寄せ、地方レベルで支援増大を実行している議員が大勢いる。昨年私が参加したルーアン・アンプレッショネ展も、今年のメル現代アート・ビエンナーレも、そうしたかれらの予算増大の賜物の展覧会なのである。シラク以前の革新政府時代は、文化予算といえば現代芸術の「創造にたいする支援(Soutien à la création)」が必ず大きな位置を占めていた。時代が変わったサルコジ政権下のきょう、フランス2TVが引用した文化予算の内訳に、そうした創造のための予算が言及されなかったこと自体がすでにおかしい。その上、4億2000万ユーロが報道関係の救済(Aide à la presse en difficulté)というから、文化のなかでもどういう形態のものに多額な予算が利用されているか、推して知るべしである。サルコジ政治で2007年を境に、めっきり文化の話が減少した。そう、多くの人が感じている。少しのあいだにズレてしまった文化の真意を取り戻し、文化予算も内容をうんぬんすべきときにきているのではないか。(S.H.)