オーランド公約の中軸ともなっていた失業者対策がまったく功をなさず、失策を認めたオーランド政権への跳ね返りは強かった。3月末に行われた地方選挙で与党社会党は惨敗。この結果を受けてエロー首相が辞任しマニュエル・ヴァルスが新首相に任命され、今朝新しい閣僚の顔ぶれが発表された。

マニュエル・ヴァルスの首相任命直後から、野党保守のUMPからは「社会党が地方選挙で負けたのだから、本来ならば野党保守から首相を立てるべきなのではないか」という声が上がり、またヨーロッパ・エコロジスト派は「新内閣にはエコロジストは参画しない」と党首や責任者があちこちで拒否表明を公にするなど、波乱を含んだが、最終的にエコロジストは恣意的に退いて一人も大臣にならず、また社会党以外からの大臣は2人のみにとどまる新内閣構成が発表された。

町・スポーツ省が女性の権利省と一体化したほかは、省構成はほぼ保たれ、閣僚16名のうち8名は女性となっており、社会党の政策の一環である男女比率を同等にするパリテ法(2000年成立)が前内閣構成と同様に厳守されている。

[大臣任命のいきさつ リアルタイム] internauto.com/actualité

[2014年4月2日付け、新内閣構成]

・ポートレートつき閣僚リスト http://www.gouvernement.fr/

ローラン・ファビウス Laurent Fabius, 外務大臣(現) ministre des Affaires étrangères et du Développement international
クリスチアヌ・トビラ Christiane Taubira, 法務大臣(現) Garde des Sceaux, ministre de la Justice
セゴレヌ・ロワイヤル Ségolène Royal, 環境大臣(新) ministre de l’Ecologie, du Développement durable et de l’Energie
ブノワ・アモン Benoît Hamon, 教育大臣 ministre de l’Education nationale, de l’Enseignement supérieur et de la Recherche
ミシェル・サパン Michel Sapin, 財務大臣 ministre des Finances et des Comptes publics
アルノー・モントブール Arnaud Montebourg, 経済再建大臣 ministre de l’Economie, du Redressement productif et du Numérique
マリソル・トゥーレーヌ Marisol Touraine, 厚生大臣 ministre des Affaires sociales
フランソワ・レブザマン François Rebsamen, 労働大臣 ministre du Travail, de l’Emploi et du Dialogue social
ジャン=イヴ・ルドリアン Jean-Yves Le Drian, 防衛大臣 ministre de la Défense
ベルナール・カズヌーヴ Bernard Cazeneuve, 内務大臣 ministre de l’Intérieur
ナジャット・ヴァロー=ベルカセム Najat Vallaud-Belkacem, 女性の権利・町・スポーツ省 ministre des Droits des femmes, de la Ville, de la Jeunesse et des Sports
マリルズ・ルブランシュ Marilyse Lebranchu, 国家再建・地方分権省 ministre de la Réforme de l’Etat, de la Décentralisation et de la Fonction publique
オレリィ・フィリペッティ Aurélie Filippetti, 文化大臣 ministre de la Culture et de la Communication
ステファンヌ・ルフォル Stéphane Le Foll, 農業大臣 ministre de l’Agriculture, de l’Agroalimentaire et de la Forêt et porte-parole du gouvernement
シルヴィア・ピネル Sylvia Pinel, 住宅・地域大臣 ministre du Logement et de l’Egalité des territoires
ジョルジュ・ポー=ランジュヴァン George Pau-Langevin, 海外仏領大臣 ministre de l’Outremer

[第五共和国新首相、マニュエル・ヴァルスのプロフィール

名前は、Manuel Carlos Valls i Galfetti。1962年8月13日、スペインのバルセロナ生まれ。1982年にフランスに帰化。セルジオ・コロナド(チリ)、アンヌ・イダルゴ(スペイン、現職パリ市市長)、エヴァ・ジョリィ(ノルウェー)、ジャン=ヴァンサン・プラセ(韓国)やエデュアルド・リアン(ブラジル)のように生まれた国の国籍とフランス国籍を同時に持つフランスの政治家。エヴリィ市議からエソンヌ県議会を経て、2012年にオーランド政権下で内務大臣に就任。

セゴレヌ・ロワイヤルの返り咲き]

話題はなんと言ってもこの人の中央政治への返り咲きだ。1953年生まれ。フランス社会党女性政治家。1980年代にフランソワ・ミッテランの顧問に抜擢され、90年代は大臣職を重ねたベテランでもあり、また現職大統領のフランソワ・オーランドとは婚姻関係を作らぬカップルとして4人の子供をもうけ、29年生活を共にした。2007年大統領選に立ち、 46,94 % (16 790 440 票)を獲得して敗退。 53,06 % ( 18 983 138票)を獲得したニコラ・サルコジが大統領となったのは記憶に新しい。