2013年7月15日未明、環境保護団体グリンピース29人のグループが、ドローム県のトリカスタン原子力発電所へ侵入し、フランソワ・オーランド大統領のポートレートに「事故があったら賠償できる? 災害の大統領」と書いた横断幕を建物外壁に取り付けた。以前もフランスで一番古いイフェッセンハイム原子力発電所にグリンピースの一団が侵入し、外部の人間が簡単に入れるほど原子力発電所の警備が不十分であることを証明して見せており、今回も目的は原発の安全性に疑問を投げかけるもの。侵入プランは入念に計画されたもので、多国籍の29人もの団員が二方向からユニフォーム姿で侵入し、原子力建屋の外壁にヒビをイメージしたイリュミネーションを投影するなど、手の込んだセットが用いられた。数時間後、不法侵入した29人は警察に全員捕縛され、今後二度とこのような行為を繰り返さないよう懲戒される見込み。

トリカスタン原子力発電所の持ち主であるフランス電気会社EDFは、「メディアにウケルように仕組まれたもので、実際には原発の建物の中には誰も入ってはいない」と主張。また、今回のグリンピースの問いに答えてフランソワ・オーランド大統領は、「われわれの国の原子力産業は、安全第一、すべてに関して十分の配慮を行っている」とTVでコメント。(フランス2TV)

TF1TV7月15日夜のニュースから(ビデオの最初に30秒のコマーシャルが入ることがあります)

My opinion: もともとオーランドは、昨年の大統領選のとき、脱原発を主張したほかの野党のうち一番優柔かつ曖昧な態度のまま選挙に勝ったいきさつがある。最近は日本まで行って原子力開発協力について言及し、ついこのあいだアレバから日本へMOX燃料が送りつけられたことはフランスでも報道され周知の事実だ。こうしたフランスの原子力推進に歯止めがかからない状態には黙ったままではいられない行動派の環境保護団体。建物に大きなヒビが入るのを光で描くなど、なかなかアーティスティックなイベントでした。それにしてもオーランドの回答のオリジナリティの無さよ。(S.H.)