アメリカのメキシコ湾の原油汚染が320kmに渡ってひろがっているとフランスのきょうのニュースが伝えた。アメリカのNBCニュースには、分厚い原油の波の中でもがいているペリカンが幾度もまた何羽も映し出されていたが、悲惨な汚染のニュースの中で目を引いたのは、海岸周辺の住民のプロテストだった。さながら無名戦士の墓地のように、今作ったばかりといったかんじの白い十字架が何本も空き地にならび、その上に黒々とペンキで書かれているのは死んだ人の名前ではなくて、「Fishing」、「Pelicans」、「The Beach」・・・。端的にまた簡潔に、海辺の生活と自然が死ぬ悲嘆を表現していて、なんとも胸が締め付けられるサイトスペシフィック・インスタレーションだ。(S.H.)