Fonds régional d’art contemporain

頭文字をとってFRAC(フラック)と呼ばれる現代アート地域基金機構の資金は、フランス文化省を中心に、国と地域議会によって采配され、現代アートを推進する目的で、地域ごとに芸術作品の発注制作や買い上げを定期的に行いながら、現代アートの資産(注:収蔵品の形成を資産の形成として考え、市民へ芸術教育の資源として還元し続ける)を形成していくことを大きな役割として担っている。

第二に、蒐集されていく現代アートを、地域の文化インスティテュートや、教育機関、公共団体などとともに多角的に利用し現代アートを普及させる。また、作品紹介、解説、芸術家との出会いなどの企画を継続的に行い、現代の創造がいかにして生まれてくるかを分からせ、収蔵品を基に地域との密接なコンタクトを行うことが、FRACの大きな使命である。…

1982年、当時の文化大臣ジャック・ラングが「現代アートの推進と、芸術の民主化」を謳い、全国敷設を決めて開始されたFonds régional d’art contemporain(FRAC 地域現代アート基金機構)が、今年ちょうど30周年を迎えた。

今日、全国23のFRACは、4200人のフランスや国際アーティストの作品、約26000点を収蔵している。

さて、FRAC敷設開始30周年を期して、6箇所のFRAC( アキテーヌ、ブルターニュ{作品4000点、5000平米}、サントル{4500平米}、フランシュ・コンテ{5600平米}、ノール・パ・ド・カレ、プロヴァンス・アルプ-コートダジュール)が、世界に名だたる建築家を集め、新しい建物を建設(あるいは建築中)した。こうしたFRACの新建築紹介の展覧会が、9月5日から10月14日のあいだポンピドー・センターで開催されている。

なお、ポンピドー・センターのあと、展覧会は各地域へ巡回予定。

FRAC-Centre-nBore

フラック・サントル(サントル地域フラック、新スペース4300平米、写真上)は、建築家ドミニク・ジャコブとブレンダン・マクファーレン(ジャコブ+マクファーレン・エージェンシー)。ジャコブ+マクファーレン・エージェンシーはポンピドー・センターのレストランやパリのレ・ドックなどを建設している。

(フランス文化省Culture Communication)

*「Fonds」は通常、資金や基金など金銭を指すが、利用価値のある資産とみなされるものも 「fond」と呼ばれる。「Fonds d’art contemporain」の「Fond」は、現代アートの「収蔵品」のことを指している。

つまり、作家から作品を「買うことで芸術家を援助」し、作品を展示してディスカッションなどをすることで市民への「現代芸術の普及と理解を深める」のに役立てる。Fonds(収蔵品)」は、あらゆる方面へ活用すべき「価値」を内蔵したものと考えられていることになる。