「政治が面白くなってきた」とは、関西方面の複数の放送局から聞こえてきた言葉。確かに、これだけ日本の個々人が政治に向き合うようになったのは戦後1960年の日米安全保障条約反対運動、そして1968年学生運動以来のことなのかもしれない。

ただし、60年安保や学生運動は激化してデモ隊と警察の物理的な衝突が結構長いあいだ続いた。60年は警官隊ともみあい怪我人や死者まで出た。大学があちこちでバリケードを組み、武装した学生がたて籠もるなどした68年は催涙弾が飛び交って東京都内を警察の装甲車が横行した。あれから40年以上経った2012年の脱原発・反核デモは、子供や家族連れが多く参加し、仮装をする人々や合唱をする人々がいて、日本経済の頂点やバブル、また、飽食の時代を生きてきた世代の余裕がちらつく平和的なデモである。フランスのメディアはBFMTVが二度ほど日本の官邸前のデモを取材したが、一度は家族連れや音楽入りの仮装の人々を映し出して、「どちらかというとフェスティブ(お祭り気分)なデモでした」というコメントで終わり。もう一度は7月13日のデモの際に、日本在住のフランス人小グループが参加したので、フランスのTV駐在員がインタビューをしに行ったという部分に限り、デモそのものの意味については掘り下げられる時間も無かった。…

 

諸外国から見ればお祭りにみえるかもしれないが、15万人という人が集まる政府への抗議デモなど無かった日本だ。74%の国民が反対するにもかかわらず、原発を推進し続けようとする政府を相手に、国民がどれだけ抵抗を続けていけるだろうか。「たねまきジャーナル」のオスプレー導入に関する特集の中で、日本人の国民性に関するアメリカの観察が挙げられている。「日本人は抵抗を示す集団行動を行うことがあっても、(上から)押し切られてしまえば、おとなしくなって何も言わなくなる性質がある」。こうした日本の国民性は、外の国からもよく見えるということらしい。政府は大飯原発を強硬に再稼動し、中部、九州など他の電力会社が次々と右に倣えをする状況へひた進んでいるらしい。国民はいま、そんな妙な「国民性」から脱出しすべきときを迎え、人権や安全や賠償など、浮上し続けるすべての問題がこれまでの政治の悪循環のなかに立ち帰ってゼロに戻ることの無いように、行動と意思表示を根気をもって続けていかなければならない、なかなか厳しい状況に置かれているということができる。正念場、とはまさにこのことをさすのだろう。

しっかり民意が通るためには敵が多すぎるようでもある。日本のメディアは真実の国民の動きを報道するのにだいぶ偏向があるらしい。そこで、このブログには、「アクチュアリティ・日本」の延長リンクとして、大阪MBSラジオ番組「たねまきジャーナル」から抽出されてYoutubeに掲載されるリアルタイムビデオへリンクをすることにした。今、国会で起こっていながら国民に知らされていないニュースを取り上げ、あるいは3.11以降問題となっている多くの政府方針や疑問について一つ一つ丹念に取り上げ、専門家や大学の研究者などを招待し、東京の毎日記者と三者電話コンフェランス形式で、見えない部分のベールを一つずつはがす努力をする。内容的にも密度が濃いところが、筆者もだいぶ気に入っている。Youtubeに掲載されるのは、週3本から6本程度。日本のアクチュアリティを知る手段の一つとしてお勧めしたい。

ただし、この「たねまきジャーナル」、番組が廃止になる危機に陥っているらしい。どこからの圧力か、という噂もきくが、他では聞けない内容を電波に乗せるこうした番組は、続けて行って欲しいと切に願うところだ。(S.H.)

------
[ここ数日のラジオ「たねまき(たね蒔き)ジャーナル」から]

・5~6号機を廃炉にせず、再び使用しようとする東電の思惑について。トリウム原発の研究を中部電力が始めたことについて。

・特集「被曝と国家責任」
きょうは長崎原爆の日。原爆と原発事故は、当然のことながら原子力にかかわる悲惨な出来事という点で深い関わりがありますが、それのみならず、被害を受けた人々に対して国­が責任をとったのか、どのような姿勢で対応してきたのかという点でも通底する問題です。国が原爆被爆者に対して現在まで行なってきた政策と、原発事故被ばく者に対する政策­の具体的な内容を比較し、「被ばくと補償」(平凡社新書刊)を著した九州大准教授・直野章子さんに話を伺います。

・広島に原爆が投下されて、67年になります。福島第一原発の事故から2回目の広島平和記念日。平和をじっくり考える日が訪れますが、民主党政権は、どのよ­うな日本にしようとしているのでしょうか?軍事ジャーナリストの前田哲男さんと民主党政権の動きをみていきます。


・特集「日本人を守るためのオスプレーの危険度に迫る」
きょうの特集は、7月25日にこの番組にゲスト出演し、オスプレイや日米安保の裏事情などを語っていただき、反響を呼んだ沖縄国際大学教授の前泊博盛さんに、第二弾としてご­出演頂きます。今回は、日本人を守るべきオスプレイがどれだけ危険なのかに焦点を当て、前泊さんだからこそ知り得る情報なども交えて伝えてもらいます。
また、日米政府が推し進める10月の沖縄配備に対する県民の思いなども語っていただきます。
元琉球新報社の記者で、日米地位協定の機密文書をスクープするなど、日米安保にかかわる様々な「裏側」「真実」を知る前泊さんにこそ伺いたい、オスプレイ関連の質問がある方は、番組までメールでお寄せください!

「民主党、ベールを剥がせば、超タカ派」(投書の一句)

他をお聞きになりたい方:http://www.youtube.com/user/tacc77/feed