フランス2TV、2012年7月19日、13時と20時のニュースから

[国民議会は男性優位?]…

きょう国民議会で、住宅費高騰へ歯止めをかける法案提議のため議席を立ちマイクの前まできた住宅大臣のセシル・デュフロに、野党右派のUMP議員議席のあちこちから「アー」やら「オー」やらの野次ともつかない声が飛んで、議長が静止するという事態が起きた。それというのも、いつもはジーンズやパンタロン姿の環境活動家のセシル・デュフロが、きょうにかぎって白地に青い模様の入ったワンピースを着ていたからで、この服装をUMP議員らがからかったことによるものだ。

「信じられないですね、こんなことは初めてです。しかも国民議会で」とデュフロ大臣。社会党政権は久々の政権獲得でパリテ法(男女議員同数を目指して各党に立候補者数の男女比を対等にすることを義務付けた法律)の推進をふたたび前面に出し、内閣も男女同数の大臣を指名するなどの努力をしている。しかしながら右派UMPは、女性議員の比率においては各党の中でも一番成績の悪い男性優位の党という統計評価が出ており、パリテ法を遵守しないために罰金を課されているような状態だ。

「奇麗な女性が服装を変えたりしたら、気がついてあげるのは普通」とUMP議員。「べつに異常なことが起きたとは思いませんでした」と議長静止まであったデュフロ大臣への野次には気を止めなかったUMP議員。「女性議員や女性大臣が国民議会でからかわれることはよくありました。スタイルや衣服のみならず、とくに30代40代ですと議員の秘書扱いされたり、きちんと議員扱いされずに嫌な思いをしたり」と、右派UMPの女性議員はいう。

現在、女性議員は国民議会の27%を占め、過去最高の割合を記録しているが、国民議会で服装うんぬんが議会を混乱させるところをみると、まだまだ女性議員が不足しているということができるだろう。

セシル・デュフロ大臣発言ビデオ


Cécile Duflot chahutée à l’Assemblée par LeNouvelObservateur

 

[経済危機を救うフランスの観光業]

ヨーロッパの経済危機とは裏腹に、フランスの観光業はますます潤いを見せている。外国人観光客に訊いてみると、「食べ物も風景も大好き」、「アートもあるし、変化がいろいろあって総合的に魅力的」。実際、フランスは「行きたい国のなかの首位」を誇っている。

2011年は、外国人観光客の数、8140万人。観光による外貨獲得は330億ユーロに上る。うちヨーロッパ人が83%、アメリカ人5%、アジア人3.6%となり、アジア人のうち特に中国人観光客が増加している。

フランスの観光地を人気順に挙げると、一位、ノートル・ダム寺院で1360万人。二位、サクレクール、1150万人。三位、ルーブル美術館、890万人。四位、エッフェル塔700万人。そのほか、ベルサイユ宮殿、モンサンミシェルなどが人気。

フランスへの愛着に加え、昨年から安価になったユーロによるところが大きい。ただ世界的に見ると、観光客がいちばんお金を使うのはアメリカ、ついでスペイン、三位にフランスの順となっている。(フランス2TV)

 

My opinion: 以前にもアクチュアリティ・日本の報道の際に言ったことがあるが、拙ブログで言及するテレビやその他のニュース報道は、その内容になるだけ忠実に翻訳してあまり恣意を入れないように気をつけている。恣意を入れるとすれば、いろいろな情報報道がある中からの「選択の恣意」と、このMy opinion欄のなかでする雑談である。

フランス2TVは国営全国テレビで、一番メジャー、かつ中立的(政府からも独立してジャーナリズムを追及する姿勢が強い)なテレビ局だ。フランス2TVが夜8時のニュースで伝えたこのUMP議員たちの女性大臣の服装に対する「目立ったからかい」の口笛や野次についてのTV報道はほかへ伝染し、他局では「マッチョのUMP党」ということばがでてくるほどだった。ル・モンド、ロプセルバターなどの新聞はもちろん、他のニュース専門TVのBFMTVなども繰り返して報道し、この出来事は恐らく国民のすみずみにまで知れわたったに違いない。

たかが女性の服装、たかが口笛、たかが男社会がよくやる女性のからかい。実はこうしたことは、根深い伝統的なマッチズム(男性優位社会)の悪習慣である。男性にとって「気がつかなかった」「あたりまえ」「ふつう」の振る舞いは、女性にとっては大きな「屈辱」であることを、今回報道は視聴者の前ではっきりと強調してみせた。悪習間に浸って変化の難しい社会への一投石として、なかなか貴重な報道であったと思う。(S.H.)