フランスTF1TV(ビデオ):
エッフェル塔は7月14日、パリ祭の花火の打ち上げのために特別化粧をする。今年は直径7mのミラーボールが吊り下げられ最上階まで数百本の花火が取り付けられて14日の夜を華やかに飾る。
さてこのエッフェル塔。1890年にエッフェルによってパリ万国博覧会のために建てられたもので、建設20年後にはたて壊しが予定されていたのであるが、10年後、300mの高さのエッフェル塔に目をつけたのはジェネラル・ギュスターブ・フェリエ(Gustave Auguste Ferrié)。1872年にアメリカのルーミスが無線の特許をとって以来、無線通信に関する開発が各国で行われていたが、フランスではこのギュスターブ・フェリエが1900年8月、パリ万国博で研究成果を発表。1903年にエッフェル塔の先端に独自に開発した受信機を取り付け、外国からの情報収集に役立てることに成功した。まもなく不穏な世界情勢が1914年、第一次大戦を招くことになり、その間エッフェル塔は最有力の無線通信(la télégraphie sans fil略してTSF)塔として重要な役割を果たし続けたのである。こうしてフランス軍隊によってエッフェル塔の解体は避けられた。爾来、情報収集を中心に現在もフランス兵士1万人がTSFに従事している。

(TF1TV、7月14日夜のニュースから)

My opinion: フランスのテクノロジーの発展は軍事産業とそれに連なる航空産業が大本になっている感じがする。軍事産業が無かったら、エールフランスのエアバスやコンコルド産業も無かっただろうし、レーダー開発や軍隊が使う特殊な機器とそれらの延長線上にある製品群も存在しなかったに違いない。インテルサットもまたインテルサットの末端にあったミニテルも、存在しなかったかもしれない。

一方、常に周辺に大国があり列国からたびたび脅かされて来た歴史から生まれた組織は非常に実践的にできている。たとえば救急体制でいえば、救急出動車のうち特にSAMUとよばれる救急車は搬送の車の中で応急措置ができるようになっていて一刻を争う場合迅速に適切な措置ができるように備えている。また、パリには特別の医療倉庫があり、危篤状態の人間1000人分のカンフル剤が常時用意されているともいう。戦争やテロ、あるいは突発的な大災害があっても最初の処置ができる量なのか。フランスにおいて、生と死の紙一重の中で合理を生む軍隊の存在は大きい。(S.H.)