フランス2TVは、この6月に行われる国民議会選挙の立候補者について、2000年に通過したパリテ法(男女均等法のことで選挙の際に各党が男女同数の立候補者を出すことを義務付ける法律)が守られているかどうかを調査した(フランス2TV5月25日放送)。

党別の調査では女性立候補者の割合は次のとおり。…

  1. 一位、ユーロップ・エコロジー党が50%対50%で同数。
  2. 二位、フロン・ナショナルFN(極右政党)が49%。
  3. 三位、共産党とフロン・ゴーシュFG(極左政党)48%。
  4. 四位、社会党PS、45%。
  5. 五位、モデム党Modem、37%。
  6. 6位、保守UMP、29%。

最悪の割合を示す保守党UMPは、たてまえでは地域地盤の堅固な層を獲得するために現職議員の立候補を優先しているが、男性候補を指名して現職の女性議員の立候補を取り下げるなどの操作をしている町もあり、パリテに関しては一概にその政治方針を明解にすることはできない。

また、社会党においては、その逆が見られ、党内で表決して立候補が内定していた男性候補をパリテ法を優先させる口実で女性候補に差しかえるなどの地域も見られ、党内の意見を重視するかあるいはパリテ法を優先させるかで揺れた。「党内部での投票で決まっていたのを取り下げるのは、まず投票という民主主義の方法に反し、また社会党党員の意見を無視することにもなります」と退けられた男性元候補の言い分。しかし、すでに10日ほど前に行われた内閣構成(男性閣僚17人、女性閣僚17人)で見られるように、パリテ優先が大きく打ち出された社会党政権は、国民議会選挙もこの方向性にある。

実際現在の国民議会の男性と女性議員の割合は、男性議員449名、女性議員109名で、女性議員は19%に過ぎず、パリテ法から程遠い「男性優位」の議会である。

CEVIPOF(国立政治研究センター、CNRS、シアンスポ)の研究者はこの状況を次のように語る。「フランスの女性議員の割合は非常に低く、欧州列国のあいだではなんと20位。世界の中では69位と、大変成績が悪い」。

(フランス2TV、JT)

My opinion: 女性議員の育成にはお金がかかるというのがUMPの言い分らしい。現実は男性優位社会に慣れた国民や議員が、男性ばかりに頼んでしまう「オートマティズム]に陥ってしまっている。男性中心の習慣が蔓延する社会は、女性を重要なポストに引き上げることをなかなかしないため、政治経験を積めずにいる水面下の女性が結構いるはずだ。そうしたにっちもさっちも行かない状況には、国が率先して「無理やり」女性を表面に出す法律を作る必要があり、かつ、選挙があるごとにこの法律が守られているかどうか検証することが必要であることを、2000年に社会党が決めたこの「パリテ法」の追跡でよく浮き彫りにされている。今回社会党政権樹立を契機に、メディアがこうやってきちんと数字で検証するところなどは、なかなか筋が通っていて気持ちがよくさえある。しかも、女性議員数が少なくフランスが世界で69位という悪成績であることをはっきり国民に突きつけてみせるのも、なかなかよろしい。(S.H.)