福島原発事故、フランス2TV、フランスBFMTV、iTele、TF1TVの総合要約 -
3月23日、福島原発の放射能を含んだ大気がフランスへ回ってくるため、フランス国民がだいぶ神経を立てていたが、今のところまったく放射能は検出されておらず、一安心。大量の大気に薄められて、放射能の塵は効力を失ったものとみられる。きょう採取した雑草などの精密検査の結果は、三日後に発表される。今後も、地域の科学者やフランス放射能安全対策インスティテュートIRSNが全国100箇所以上で大気や雑草などを採取し放射能検査を続けていくことになっている。
福島原発の事故はチェルノブイリ惨事とはまったく異なる。チェルノブイリの場合、核燃料自体が爆発して核の粉塵が高い大気中にばら撒かれて、ヨーロッパ大陸を覆うという惨事を招いた。福島原発の場合、メルトダウンをしているものの核燃料の爆発にはいたっておらず、破壊された炉心から原発の外に放出される放射能は低空にとどまり、むしろ原発の周辺地域を中心に汚染しているものと見られる。

先週金曜からの努力が実り、電気回路が復活して核を制御する希望が持てる段階に入ったものの、第3号機からの灰色の煙は上がり続け、それに伴い高い放射能が外部に拡散しているもよう。原発で仕事をしていた職員は放射能を避けて退避した。まだ油断はならない。

東京では放射能による水道汚染を確認。乳幼児の許容限界を超えたという。東京都は瓶詰めの水を配給。そのほか、福島産の生鮮食品、特にカリフラワー、ほうれん草などの野菜11種が汚染されていると見られている。

フランスへの影響: プジョー・シトロエンの自動車産業に大幅な影響。日立が日本で生産していた車の部品供給がストップし、プジョーの車、207、308、またシトロエンのC3が生産休止。全体で25%の減産となった。また、昨年からバクテリアの増大で大きな被害を出しているフランスの牡蠣の養殖業を救うため、バクテリアに強い仙台産の養殖牡蠣を導入しようとしていた矢先の東北大震災と津波で、フランス養殖業が希望を失った。海のバクテリアの突然の増加で、太平洋側のフランスの養殖牡蠣が60から70%死滅するという大被害がでていたため、昨年仙台へ出向して買い付けを決めていたもの。牡蠣産業はほかの活路を見つけなければならない。一方、日本の食料品の放射能汚染にともない、日本から輸入される食品で特に生鮮食品は厳重に放射能の値を検査することになった。
IRSNの科学者はきょう「これからも日本から放射能の塵を含んだ大気が回ってくるが、現在のような放射能の放出の仕方だとフランスへはほとんど実害はない」と発表した。

ヨーロッパへの心理的かつ政治的影響: ドイツでは原発を3ヶ月停止。イタリアは原発開発への討議を12ヶ月見合わせることにした。イスラエルも同様。フランスではエコロジストが論争を活発化させるなどし、また、昨年政府が後退させていた太陽エネルギー開発に再びてこ入れをする方向へ動きはじめている。