【イタリア総選挙にふたたび震撼、極右の進出に染まるヨーロッパ】

一昨年のフランスの大統領選挙で極右候補が決戦に残り、数ヶ月前のオーストリア選挙で三主権府を極右政治家が牛耳ったのを覚えておいでだろうか。この週末のイタリア総選挙でこの国においても強い極右の姿が顕になった。ル・モンドが地図を塗り分け、ヨーロッパにおける極右政治の動向を明らかにした。白から黒へ。色の濃い国は右翼の支持が強い国である。

ハンガリーとスロバキアに支えられて、ヨーロッパで一番極右政党が勢威を振るう国はオーストリアとイタリア(下の地図の黒色で塗られた国)。ドイツにおいても政治勢力として大きくなりつつある。一方、リュクサンブールとアイルランドは極右の動きは全く国政に反映していない。

極右勢力を欧州地図で見る(ル・モンド)

様々な顔

帝国主義、ポピュリズム、欧州懐疑派、欧州嫌疑派、もっとあからさまに人種差別やユダヤ人差別など、ヨーロッパの極右政治家には様々な顔がある。近年のその主な原因は、欧州諸国に押し寄せる何万人もの難民危機とイスラム闘争だ。また、スペインで、カタロニア危機に際し国統一のため極右の動きが顕著になった。

キプロスでは、ギリシャの暴力的運動「黄金のあけぼの」に影響を受けた国民戦線 (ELAM)の勢いが強くなり、アテネで3月6日、5人のネオナチが現地の左翼移民に暴力を振るった罪で反テロ捜査官に逮捕された。

続々と押し寄せる移民やテロリストへ警戒を強めた国々が国境を封鎖し、外国人の検査を強化するなど、安全への強迫観念は、右翼が共有するものでもある。…

En savoir plus sur http://www.lemonde.fr/les-decodeurs/article/2018/03/07/carte-comment-les-extremes-droites-progressent-en-europe_5267127_4355770.html#WsEmJbAQ520HUJ0P.99

 

My opinion: 2016年のフランスの大統領選は投票率が低かったし、国民戦線(極右)は組織票で固めたためにのし上がれた。投票率が低かったということは、極右支持のパーセンテージは実はもっと少ないはずなのだ、という記者の弁解が透けて見える記事でもある。しかし、本当にそうだろうか。移民危機に見るように、移民を人間として扱う国は少なく、国境で取り締まり移民の持ち物を取り上げたり、着の身着のままの人たちへ食事を提供する自国民を捕まえてみたり、どう見ても混乱が激しい。一方で、先週は中国で首相の任期をなくしてしまった。ということは「生涯首相」。つまり「独裁」になったのか。アメリカのトランプは「生涯大統領も悪くない」と言って、パーティーの人たちに拍手をもらった。主導者の勝手と独裁。社会は貧富の差の拡大。国同士は、戦争と人権の無視。政治家は法の無視 …。どこかのタガが大きく外れ、その連鎖があちこちのレベルで起きている。この欧州の右傾化もその一つなのだろうが、こんなに未来が見えないのは不安である。(S.H.)