トランプ次期政権の脅威に備える科学者たち

トランプ次期大統領の準備チームが、DOE(合衆国エネルギー省)に74項目の質問状を出し、気候変動に関するすべての研究、会議、グループと責任者など一切を明記したリストを提出するよう要請したが、DOEは断固これを拒否した。…

「強いアメリカを取り戻す」というスローガンを掲げ、トランプ次期政権を形成する人選が進んでいるが、選ばれた閣僚が全員億万長者であることや個人の経歴につながる権益問題が(トランプ次期大統領のConflict of Interestも含めて)論争を呼んでいる。

国務長官にエクソンモービルのレックス・ティラーソン会長兼最高経営責任者(CEO)が指名された。過去ロシアと石油の共同開発を行うなどの親ロシア家(「現在行われているロシアへの経済制裁をアメリカが解除すれば、エクソンはそれだけで数十億ドルの石油取引を成立させることもできる」という。また、「ティラーソン氏は、エクソンの2014年度の総会で、ロシアとの合弁事業が中止に追い込まれたことから、ロシアへの経済制裁に反対すると言明している。」The Huffington Post)。数年前氏は、「自分は100%ビジネスマン」と言っていたほど政治経験はない。さらに、環境長官には気候変動説を否定する政治家スコット・プルィットをノミネートした。「地球温暖化はアメリカ経済を弱体化させるために中国が捏造した嘘」で、したがってパリ協約を否定する、というトランプ選挙公約を反映して選ばれた。そのプルィットは、石油やガス開発推進者で、オバマ政権やEPA(アメリカ合衆国環境保護エージェンシー)が行ってきた温暖化ガスを削減する努力を否定してきたために批判が多かった政治家である。また、エネルギー長官には、オイル・ステートのテキサス州知事リック・ペリィが就くという。

国務長官、環境長官、エネルギー長官と、三役揃って石油がらみ。ロシアの最高レベル(プチン大統領)の命令で二つの組織が大々的なハッキングを行い、大統領選挙で民主党候補を弱体化させたという確証をCIAが握っているというオバマ現職大統領の記者会見と並行して行われているこのトランプ次期政権の人選は、あからさまに現行政策を転覆する姿勢を見せ、戦慄すら覚えるものである。

パリ協定で決まったクリーン・エネルギーへの移行に大きな障壁となる化石燃料「ビジネス」推進派の政府作りに加え、財務長官はゴールドマン・サックスのCEOが指名されたことで、地球保護への緑色はべったり経済色ならぬ真っ黒い原油色に塗り替えられそうだ。

 

そうした矢先、トランプ時期大統領組閣チームが、気候変動に関する研究に取り組んだり、会議やコミッションに参加した科学者や公務員の名前を全てに渡りリストアップして提出するよう、オバマ政権下のエネルギー省に要請したのだ。CNNは、「Will Trump purge climate change scientists? トランプは気候変動に携わった科学者を[ 粛清する]気なのか?」と、トランプのアドバイザー、アンソニー・スカラムッチに質問したほどだ。何が起こるかわからないという懸念で、現エネルギー省は、次期政権への関係者リスト提出を断固として拒否した。

そればかりではない。科学者たちは最悪の場合(新政府が消滅させるなどの)に備え、政府の気候データベースを他の独立したサーバーにコピーして保存するなど、これまでの貴重なデータを守り抜くために奔走し始めている。

http://www.theverge.com/2016/12/13/13937938/climate-change-data-download-government-websites-donald-trump

長年にわたる現地調査のデータや分析結果の積み重ねは失われたら二度と復元することはできない。ペンシルバニア大学の研究者は、Azavea、Open Data Philly、Science Outreach Initiativeなどの機関と協力し合い、科学データを安全に保存する方法をピックアップするなどし、また今週末は、トロント大学で、「トランプ政権下の管理で消えてしまう恐れのある連邦のオンライン・ページとデータをアーカイブする」ことが主題に取り上げられるなど、科学者たちの動きが広まっている。

The fear the data could disappear is justified= https://www.washingtonpost.com/news/energy-environment/wp/2016/12/13/scientists-are-frantically-copying-u-s-climate-data-fearing-it-might-vanish-under-trump/?utm_term=.bbf6c3d7d4e3

ちなみにブッシュ政権時代も、気候変動情報の広範な検閲が行われ、政府の環境サイトのデータなどはなおざりにされ、更新されることは稀だったという。

トランプ・チームのアドバイザー、アンソニー・スカラムッチは子孫の代も地球の空気や水がきれいであって欲しいのは当たり前のことだ、と言いながらも、「地球温暖化は数多くの科学者が実証するところだ」というCNNの追及に対し、「地球が平らだというのもたくさんの科学者の検証に支えられていた」と答え、報道陣を呆れさせた。

DOEの拒否を受け取ったトランプ・チームは、「質問状はチームの許可を得て発行されたものではなかった」と公表し、事なきを得ようとしている。

トランプ・チームの質問状

DOEの拒否

who have researched climate change.

Ajoutée le 15 déc. 2016

トランプ政権下で消滅させられてしまうのを懸念して科学者たちがアメリカの気候変動分析データ保存に奔走。

 

http://www.npr.org/sections/thetwo-way/2016/12/13/505440178/department-of-energy-defies-trump-wont-name-climate-change-workers

‘It’s Called Ignorance’: CNN’s Cuomo and Trump Adviser Have Testy Face-Off on Climate Change

Ajoutée le 14 déc. 2016
Donald Trump adviser Anthony Scaramucci and CNN’s Chris Cuomo had a testy confrontation over climate change on Wednesday.

トランプ・チームのアドバイザー、アンソニー・スカラムッチは子孫の代も地球の空気や水がきれいであって欲しいのは当たり前のことだ、と言いながらも、「地球温暖化は数多くの科学者が実証するところだ」というCNNの追及に対し、「地球が平らだというのもたくさんの科学者の検証に支えられていた」と答え、報道陣を呆れさせた。

ビデオ:NASA has long said that there is a scientific consensus that Earth’s climate is warming, noting on its website, “Multiple studies published in peer-reviewed scientific journals show that 97 percent or more of actively publishing climate scientists agree.” Studies come from the NASA Goddard Institute for Space Studies, the Hadley Center for Climatic Research, NOAA National Center for Environmental Information, and the Japanese Meteorological Agency. The American Association for the Advancement of Science wrote in 2006, “The scientific evidence is clear: global climate change caused by human activities is occurring now, and it is a growing threat to society.”
NASAは、地球の気候が温暖化しているという科学的合意があると長らくウェブサイトで指摘をしてきた。「科学誌で査読された数多の研究は、気候科学者の97%以上が同意していることを示している」。これらの研究は、NASAゴダール宇宙研究インスティテュート、ハドレー気候研究センター、NOAA国立環境情報センター、日本の気象庁によるもの。米国科学振興協会は2006年、「科学的証拠は明らかである:人間活動による地球規模の気候変動が現在起きており、社会への脅威となっている」と発表している。

(CNN、ABCTV、ワシントンポスト電子版、ル・モンド電子版)

Blocking Trump from the Electoral College: Our final hope

Ajoutée le 16 déc. 2016
「Blocking Trump from the Electoral College is the last chance we have. Faithless electors can block Trump from reaching the white house.

私たちのラスト・チャンスは、12月19日のエレクトラル・カレッジの投票でトランプ就任を阻止することです。11月8日にトランプに投票した人が他の人へ投票することによって、トランプのホワイト・ハウス入りを妨げられます。」
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My opinion:億万長者ばかりの内閣構成とロシア接近による利権の拡大と。その裏にある大統領選の流れを変えたらしいロシアの組織的なハッキングと。トランプ氏自身の利益相反行為についても今のアメリカは言及が甚だしい。自腹で大統領選のキャンペーンをしたというのが売り物になっているようだが、昨日ABCニュースは、キャンペーンが宣伝効果を上げてトランプ企業が大儲けをしたと報道していた。トランプ氏が大統領になってこれをやったら、それこそまさに利益相反行為、アメリカでもこれは法律違反だ。マイケル・ムーアが予言しているように、トランプ氏が大統領になっても4年を待たずに辞任に追い込まれるだろう。しかし、オバマ・レガシーが壊されてからでは遅いのだ。

明日、12月19日のエレクトラル・カレッジの選挙で覆されないか⁉︎ 海を渡ったあちらの国の政治は今や、すぐ目の前の我々が住む地球の行方と我々の生命に直接関わってきているのだから。(S.H.)