2016日5月13日・14日、レンヌでデモ-警察、壊し屋の衝突

5月10日にヴァルス首相が49.3法にのっとってエルコムリ労働法案を採決なしで強行可決したことを受けて、労働法に反対する人たちの集会が各地で続いている。

14日土曜、新労働法反対集会の夜明けとともにレンヌ市の中心街はショーウインドウが割られたり、銀行のATMが壊されたり、数多くのブティックが被害を受けているのを目の当たりにした。「ほんとにがっかりしますよね。店を出すのに借金もしているというのにこの有様で。大体もう1か月半、デモばかりでちっとも稼ぎになってません」とは、ブティックのオーナー。13日(金)、700人ほどのデモ隊が警察の暴力に対して反対を唱え、駅広場に集まったが、これに混じって300人ほどの[壊し屋」が無差別に通り沿いの店や家を壊して歩いた。

一方警察は、重装備をしてこれらのデモ隊に(バズーカ砲のような長銃で)3発の催涙ガスを打ち込み、石などを投げつけてくるデモ隊にフラッシュボールを発射して牽制、デモ隊が中心街へ向かうのを阻止しようとした。太腿にフラッシュボールによるものらしい大きな青あざができているのを見せながら、「見てくださいよ。警察は私たちを怖がらせようとしているのではなくて、私たちを痛めつけようとしている。私たちが暴力を振るっているのではなくて、向こうが私たちに怪我をさせようとしてるんだ」。

 

警察は14日の集会を禁止し、重装備のまま市街地で警戒を続けた。

5月13日、14日のレンヌの町

映像と写真はこちら…http://www.huffingtonpost.fr/2016/05/14/manifestation-interdite-rennes-violences-policieres-incidents-photos_n_9969894.html

エルコムリ新労働法は十分に審議されたのか

新労働法: 49.3法で、政府はすべての政策につまづき? (20MN電子版その他、5月10日)
国民議会は、オランド大統領任期中の大きな布石ともなるべき新しい労働法は、国民議会を通過させるべき過半数に満たないと認識していた。が、政府は、この労働法から得られるものを十分に見通さないまま通過へ。

2月にミリヤム・エルコムリが新法案を発表したとき、すでにレ・ゼコーのインタビューで、「大切な法案なので、政府は49.3法を躊躇せずに使うだろう」といっていたが、これから討論を始めるという段階にしては妙な発言だったわけである。現実に、ヴァルス首相はエルコムリ法を積極的に推し、3か月後の今日、政府は49.3法を使って新労働法を可決した。

国民議会で採決するには過半数に40票足りないことが分かっていた。また、市民が立ち上がったことも大きな理由となり、エルコムリ法案に対し5000の変更要求が寄せられるという異例の事態となり、与党内討議が望まれていた。しかし、10日、首相の一任で法案を通すことのできる49.3法を閣議決定。49.3法はただし、首相の一任を許す代償として、内閣不信任(Motion de censure)要求を反対派が成立させた場合、これを受理しなければならない。

与党社会党の過半数が得られず、強行ともいえる49.3法を運用させた事実は、社会党の分裂を公にしたかたちとなった。社会党内部の反対派から、内閣不信任案が出る勢いすら感じられる。

新労働法に反対し、再び、今週火曜と木曜、全国集会を呼びかける方向へ。

Le Grand Décryptage du 10/05/2016, itele

ビデオ:社会党政府(左派)の分裂。政府を支える同じ流れの社会党ではなくなったことをさす49.3法の使用。直ちに、中道派と共和党が総辞職要求を出した。

My opinion: クリスチアーヌ・トビラが、「社会主義は討論です!」といっていたことが思い出される。トビラ前法務大臣は、二重国籍のテロリストのフランス国籍剥奪強化を憲法に盛り込むことに反対して、結局はヴァルス内閣から去らざるを得なかった。人間の権利を守るために話し合いを基本に、というトビラ元大臣の「討論」はここでは結局十分になされず、反対派のマルチーヌ・オブリィなどは自分の地元で激しい政府の批判をするにとどまっている。政府が49.3法に訴えても、一向に市民集会は収まらず、これから各職種でストライキが予定されており、混乱は収まる見通しにはない。