1月27日付けで、仏法務大臣クリスチアーヌ・トビラ(仏領ギアナ出身)が辞任した。「抵抗は残ることであるときもあれば、去ることが抵抗となるときもある」とはトビラ元大臣の言。昨年のテロ以来、非常事態宣言下のフランスでは、テロリストや犯罪者の国籍抹消の条件範囲を広げる拡大法を憲法につけ加えるよう大統領が提案していたが、人権と自由に抵触するばかりではなく、本来の社会党の社会主義的人道観に反するとして、クリスチアーヌ・トビラは大統領や大統領の方針を支えるヴァルス首相と対立していた。このため、野党側からはトビラ法務大臣の辞任要求が上がっていた。トビラ元法務大臣は、その雄弁さはもとより、国会に魂を入れなおしたと言われるほどの文化意識と知識の深さ、その明解な人道観でこれまで何度となく賞賛されてきており、ソイシャルネットワークや左派系新聞リベラシオン、ラジオのフランス・アンフォなどで、たくさんの惜しむ声があがっている。

Christiane Taubira et Manuel Valls lors des questions au gouvernement le 12 janvier. Photo Laurent Troude pour Libération ラ・リベラシオンの電子版から「政府質疑応答時のクリスチアンヌ・トビラとヴァルス首相」

2015年12月、アルジェリア訪問中のトビラ大臣は二重国籍の犯罪者のフランス国籍抹消についてのラジオのインタビューに答えて、「この法案は自然消滅すると確信しています。この問題の紛糾で社会が論議することはいいことだと思っています。ただ私は、この国籍抹消法はテロ撲滅対策に有効だとは思いません。 問題は、この法案の根底に、そこで生まれて国籍を取得するという権利と、基本的な人権問題があることです。国から誰かを放り出せばそれでテロの危険度が低くなるというような話とは違います」。(リベラシオン)

リベラシオンの記事へ「トビラとヴァルス首相、5つの論点の食い違い」(ビデオ掲載)

リベラシオンの記事へ「高くつく政策」・・・「トビラが辞職は、ヴァルス政府を見会の一致へ導くかもしれないが、政策の根幹を揺るがすことになる」

フランスTVアンフォ「トビラ辞任、社会党左派惜しんで嘆く、極右大喜び

レ・ゼコーの記事へ「トビラ辞任、ジャン=ジャック・ユルヴォラスが後任へ」・・・「自由束縛へまっしぐらか?」

新法務大臣ジャン=ジャック・ユルヴォラス