フランスから―環境とアートのブログ

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Posts tagged "酷暑"
衝撃のオーストラリア火災

衝撃のオーストラリア火災

摂氏40度を越す酷暑と乾燥が煽る前代未聞のオーストラリア火災は、今やデンマークと同じ領土を焼き尽くし、全土に広がり続けている。 2019年9月から始まった火災は、わかっているだけでも数名のボランティア消防士を含む17人が死亡し、サウス・ウエールズだけで900軒が消失。全土にわたって5百90万ヘクタールが灰燼に来した。先のブラジルのアマゾンやカリフォルニアの大火災を大きく上回る被害はさらに拡大し続けている。
猛暑のヨーロッパ、少しは凌ぎやすく

猛暑のヨーロッパ、少しは凌ぎやすく

6月下旬に酷暑が報道されたヨーロッパもここへきて少し凌ぎやすくなったが、フランスで27度前後、雨が降らず、干ばつが懸念され始めている。

アクチュアリティ

酷暑警報発令 - フランスはきょう、全国的に猛暑に見舞われ、アキテーヌ、ピレネ、イル・ド・フランス、ローヌ・アルプ、およびアルザス地方を中心に、合計9県で酷暑警報が発令された。パリは日陰で35度、リヨン36度、日向で40度を記録。ボルドーでは朝方すでに30度、昼間はやはり40度で最高を記録した。南仏をキャンピングカーで移動するツーリストの車の中の寒暖計が48度を指すほど、道路は異常に温度が上がっている。 アキテーヌ地方は今夜、集中豪雨に見舞われるもよう。夜も23度あり、酷暑度「2」という判断が下された。メテオ・フランスの予報では、今週日曜まで温度が上昇し続ける。熱中症や脱水症を避けるため、一日2リットルの水を飲むようにテレビで呼びかけている。 My opinion - 二ヶ月前の5月は10度以下で山地では降雪のあった寒い初夏から、6月末から好天が続いて35度以上の厳しい暑さがフランス全体を襲っている。数年前まで、夏でもその日のうちに急に温度が下がるので、用心のために暑くてもフランス人は必ず長袖のセーターや上着を抱えて外出したものだが、昨今は暑さが建物や空気に浸透して夜でも暑く、したがって上着を小脇に抱えている人などほとんど見かけることはなくなってしまった。センスをばたばたさせる人も見かけるようになり、激しい気温の上昇は、フランス人の生活様式を変化させつつあるようだ。それにしても冬向けに密封されて作られた郊外線地下鉄の電車内の蒸し暑さはかなわない。TGVは空調が完備しているが、地下鉄はまだまだ冷房車の出現まで時間がかかりそうだ。

アクチュアリティ

サルコジ大統領、支持率21% - きのうのフランス2テレビ発表の国民アンケートによると、就任3年目で、サルコジ大統領の支持率が大幅に落ち込み、21%の最低を記録した。「信頼できない」という国民は71%にものぼる。2007年の大統領選出のとき65%だった支持率は一年後に半減。3年後の今日は、はっきりした不満の声が大勢を占めている。これにたいしEUの政治批評家たちは、大きな負債を抱えたEUのリーダーシップを執るべき主要国の大統領が国民の信頼を欠いていることに大きな不安を感じる、と口をそろえて表明した。 猛暑 - フランス全体を高気圧が覆い、気温が上昇中。きのうは全国いっせいに30度を越した。きょうは、パリで33度、ストラスブール34度、ボルドー37度。今週末はさらに上昇するもよう。フランスの2003年の酷暑で15000人が死亡(きのうのフランス2テレビが数字を引用した)していらい、フランスは酷暑レベルを設定し、危険度が上がると各病院や養老院施設などで特に暑さに弱い病人やお年寄りに特別対策をとるよう指示をくだすことにしている。早速、健康省のロズィーヌ・バシュロ大臣が酷暑対策に乗り出す姿勢をみせている。 My opinion - 2003年の夏と2010年の夏を比べると、フランスは社会のようすががすっかり変化した。かんかん照りでも石の建物の中に入れば涼しく過ごせたフランスは、2003年以前はクーラーや扇風機はおろか、扇子ですら「存在しなかった」。「存在しなかった」とここでかぎ括弧をしたのは、フランスのマーケットのことを指したいがためである。日本から来た日本人が「西日がひどいので扇風機を買いたいのですが、どこで売ってますか?」と訊きに来たことがあったが、残念ながら「どこにも売ってませんが、注意していれば見つかることがあるかも・・・」とこたえたことがあった。20世紀までのフランスでは夏に対してこれだけ鷹揚でいられたのだ。突然の猛暑が訪れた2003年は、40度を越すアパートの中で、空調をすることも知らない人たちがたくさん死んでいった。信じられないことだがこうして亡くなった人の数15000人。気温の上昇のみならず、必要の無かったものが突然必要になったときの社会と人間の習慣のずれが桁違いだったことが、この思いもよらない惨事のもうひとつの大きな要因であったと私は考えている。さすがにこの経験で、翌年からフランスのマーケットへ扇風機が導入され、現在ではクーラーもあちこちで買えるようになったから、いまや2003年のような驚くべき数字とは縁が切れたはずであるが、はたして地球の温暖化はこれからどのような災害をもたらすのやら。予測のつけようもない。(S.H.)