フランスから―環境とアートのブログ

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VIDEO Appel d'air #2

VIDEO Appel d’air #2

平川滋子「アペル・デール(空気の誘引」(ルーアン市植物公園) ルーアン市企画「ルーアン・アンプレッショネ」展 2010年6月-8月 Appel d’air #2, 2010 Rouen, France Copyright: Shigeko Hirakawa

ルーアン、作品の一部破壊で警戒態勢

7月19日、ルーアン市植物公園のチーフから電話があり、「透明球体の大きいやつが一個やられたので、今朝警察へ行って届けを出しました。球体は120cmほどの穴が開いています。ついては被害金額を・・・」と言ってきた。フランスでのこうした芸術作品にたいする暴力は今に始まったことではなく、野外の展示ではほとんど90%がバンダリズム(故意の作品破壊)にあう。私の空気を入れた球体のインスタレーションも、設置が完了したその日に、数十人の子供が飛び掛り、蹴ったり殴ったり、のしかかったり、ケーブルをいたずらしようとしたりの大騒ぎが始まった。こうした人害だけではなく、大嵐などの悪天候にも耐えるよう、今回はポリウレタンの強靭なソフトプラスチック材を選び、野外の設置に臨んだといういきさつがある。 このポリウレタン材は、素手で殴ったりのしかかったりしても破裂をするような材料ではなく、まだ傷んだ球体を見ていないからなんともいえないが、120cmの穴が開いているというからには、ナイフか何かで切りつけたものと思われる。すでに、先々週ルーアンに戻った際、球体の足元から山ほどの石が見つかった。わざととがった石を選んで拾い、球体めがけて投げつけて穴を開けようとする子供がいるらしい。一人や二人の子供ではない。それにしては芝生の上に転がっている石の数が多すぎるのである。そんなひどい目にあっても、設置した7個のすべての球体は、まったく何ごともなかったかのように平然と存在し続けていたのだった。 この球体が致命傷を受けたのは、植物公園が閉まった夜のことらしい。日中は自転車に乗った警官が二人、見回りをしてくれることになっているが、閉園する夜は誰もいない。この事件で、ルーアン市は、これから5日間、24時間態勢でガードマンを置き私のインスタレーションの警戒にあたることを決めた、という連絡がさきほど入った。 さて、気分なおしに、今回のインスタレーション《アペル・デール》への反響を拾ったので、ご紹介したいと思う。このブログに掲載されている写真は、愛を感じるほど美しい。 推薦ブログ Le gout des livres 2010/07/21 (S.H.)

ルーアン・アンプレッショネ展、作品と7月3日記念スチール

2010年7月3日ルーアン・アンプレッショネ展オープン。 アーティストの作品: オープニング・スチール:

ルーアン・アンプレッショネ - 展覧会

ルーアン - Rouen, 《Rouen impressionnée》 ルーアン・アンプレッショネ展、ルーアン市企画主催。 「コンテンポラリーアートが風景を占領するとき」 2010年7月3日から8月29日まで。市内各地でインスタレーション。7月3日総合オープニング。 その他の日程・ガイド付き見学日: - アルヌ・クィーンズのインスタレーション「カミーユ」(ボワルディュー橋)は、以下の日にガイド付きグループ見学企画。 2010年7月11、15、29日、8月8、12、21、26日、18時から。現地集合。 - 平川滋子のインスタレーション「アペル・デール」(ルーアン植物公園)は、以下の日にガイド付きグループ見学企画。 2010年7月8、17、22、31日、8月5、9、14、28日、18時から。現地集合。 - フランソワ・カヴァリエ写真展「富士山」はギャラリー・ラファイエット地下展示場。 - オリビエ・ダルネとパルティ・ポエティックの蜂の巣のインスタレーション「はちみつ銀行」は、火曜、水曜、金曜の17時から19時までオープン。 バルテレミィ広場、サン・セベール広場。 - エシェル・アンコニュ(グループ)、QRコードでケイタイで作品にアクセス。リブ・ドロワット。 - ジェローム・トックル、キューブ・インスタレーション。ルーアン市庁舎前。7月19日から8月1日まで。 ・Artistes et groupes/Artists & groups: Arne Quinze, Shigeko Hirakawa, François Cavelier, Olivier Darné et le Parti poétique, Echelle inconnue, Jérôme Toq’r ・Commissaire/commissioner: Laure Delamotte-Legrand ・展覧会公式サイト: http://www.rouenimpressionnee.fr ・Shigeko Hirakawa’s project Appel d’air preparation (6月26日オープン)
本格的な準備に入る直前 (ルーアン・アンプレッショネ展)

本格的な準備に入る直前 (ルーアン・アンプレッショネ展)

6月14日からルーアン植物公園で私のプロジェクトの本格的な準備が始まる。今週はアトリエでこまごまとした整理をしつつ、いろいろなことが頭に浮かんでいる。 ルーアンには6グループのアーティストが仕事に来るが、みなその内容は独自のもので、設立形態もまたそれぞれ違う。蜂のサイロを持ち込むオリビエ・ダルネは協会を作ってグループ活動をしているし、エシェル・アンコニュは社会問題を扱って町中でインタビューをして回るアーティスト集団で、アルヌ・クィーンズは専用の建築アシスタント・グループを持って仕事をしている。誰一人、アート・マーケットのシステムの中に飲み込まれているアーティストはいない。それぞれにもちろん仕事の一部として画廊と仕事をしているアーティストもいるにしても、それが仕事のメインではないことは確かだ。また、アート・マーケットから自由になることで仕事の内容も自由を勝ち得るということができると思う。 いまさらの話になるけれど、ヨーロッパの国際展にみるようなアートの自由な動向は、アーティストの自由を発展させるほどにしっかりした土台を持つ地方団体の活動が大きな役割を担っていることに気がつかなければならないだろう。ヨーロッパのアート・マーケット、特にフランス近辺諸国のマーケットはアメリカなどと比べものにならないほど規模が小さい。また経済危機にも脆弱でもある。そうした狭いマーケットのそとには活動の可能性を広げることのできるまた別の現場がひろがっている。アーティストがそのことに気づけば、自分の活動のかたちも現場もまたその聴衆も自分で作り上げていくことが可能なのだ。私は1993年の経済危機でいっしょに仕事をしていた画廊がことごとく消えていったときに、周りを見回してようやくこのことに気がついた。このときの覚醒は、今の私の活動形態を作る大本となり、今にいたってもどこかこの観点につながったかたちで世界のアーティストのアートの自由を観察しているような気がする・・・。 今週10日、来年一月の新しいプロジェクトのミーティングをし、13日の日曜にルーアンに戻る。(S.H.)
6月5日の準備 (ルーアン・アンプレッショネ展)

6月5日の準備 (ルーアン・アンプレッショネ展)

6月4日金曜。朝8時20分の列車でルーアンに向かった。 午前中はラジオのフランス・キュルチュールの記者のインタビューがあり、しかも同じ列車でその記者も来るというので、前もって連絡を取り合ったが、この展覧会ではどうもジャーナリストには運がない。相手の妙な電話の対応でだいぶ閉口して、インタビューなどどうでも良くなっていた。ルーアン美術館では、ノルマンディー・アンプレッショニスト展のためにツアーのかたちでルーアンまで来た記者をレセプションしてコンフェランスが催される日でもあった。 5日がルーアンの植物公園の造園局の局員たちと最初の準備をする予定の日だったために、前日ルーアンに来ることにしたのが、たまたまこのプレス・コンフェランスとかち合うことになったというわけだ。 ルーアン・アンプレッショネ展にはアーティストが6グループ選ばれている。仕事の仕方はそれぞれまったく個性的で、グループで仕事をしているなかでも専門のアシスタントグループを持つ建築のアルヌ・クィーンズはおそらく契約の仕方も企業なみで、私のようなアーティストとはまったく別個なのではないかとおぼろげに推測している。…