フランスから―環境とアートのブログ

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Posts tagged "エコロジスト"
政治の世界のセクシズム

政治の世界のセクシズム

政治界のセクハラ 2016年5月15日のJournal de dimanche(JDD 日曜新聞)は、左派右派を問わず17人の元女性大臣が進んで署名し、現職時代に遭遇した男性議員や大臣からのハラスメントに言及しつつ、セクシズムについてそれぞれの経験や考えを表明していくと発表した。 フランス・アンテールなどのメディアが5月8日、国民議会の副議長であるエコロジー党のドニ・ボーパンDenis Baupin(住宅大臣エマニュエル・コスの夫)が複数の女性議員にセクシュアル・ハラスメントをし、時には暴力的行為に及んだと暴露した。ドニ・ボーパンは事実無根として公表内容を否定しているが、日ごろの人柄からは程遠いイメージはエコロジー党や左派に大きな波紋を投げかけている。 「私たちはもう黙ってはいない」。元女性大臣17名がJDD紙に、これからは、「無礼な態度や場にそぐわない行動など、気がついたことはすべて」糾弾していくと報じた。
なぜ環境問題か、というはなし その1

なぜ環境問題か、というはなし その1

「環境アート」という主題を自分のウェブにつけたのはもう14、15年も前のことになる。自分が何をやっても結局は自分の身の回りの環境に多かれ少なかれ影響された作品を作っていることに思い当たったときに付けた。したがって70年代で起きた歴史的な「環境アート」とは切り離れてぽつんとある。また「日本にいたらこんな作品は作っているはずがない」と思うことでフランスの環境が私の思考の反射板的となっていることがいつも浮き彫りになった。このことが、2003年のアメリカ行きを決めた要因でもある。「もしアメリカにいたとしても、今のような作品を作ってはいないだろう」という推測は、このとき現地アメリカで大いに確証を得たといっていい。自然環境のみならず、社会が違う。文化や言語のみならず、社会構造から来る気分がまったく違う。アートの成立も結局はすべて環境に帰するという思いを強くしたのはこのときだ。…

アクチュアリティ

マルクールの核廃棄物溶融炉で爆発、一人死亡4人重症 - 9月12日正午ごろ、フランス電気EDFの関連会社でガール県マルクールにある低レベル核廃棄物を処理する施設サントラコの溶融炉が大爆発し、職員一人が死亡、4人が重軽傷を負った。この施設は、放射能防護服やその他軽機材の焼却および、原子力発電所施設解体などから出る核廃棄金属を溶かしてリサイクル可能な鉄を抽出したりする溶融炉をもっており、溶融の際に出る放射性物質が多量にストックされているはずという。爆発直後、施設から2kmはなれた人口2000人の村々では住民がパニック状態になり、幼稚園の保育係が子供を屋内へ退避させるなどの自発的な非常措置を取った。この事故に際し仏原子力庁は、建物は密閉されており現在のところ放射性物質が建物の外へ漏出することはないと発表。エコロジー大臣が現場へ赴き、原子力事故としてではなく、通常の産業事故として対応に当たるように強調した。一般への通達は爆発から2時間後で、情報の遅滞に地域は業を煮やしている。 フクシマ原発事故以降、フランスでの原子力施設での爆発はこれで二度目。ほとんど発表されないが、全国で平均一日に3つのアクシデントが起きるという。(フランス2TV) フェッセンハイム原子力発電所 - エコロジストや原発反対者が一番に廃炉にすべき原発として先ごろから槍玉に上がっているアルザス地方のフェッセンハイム原子力発電所。1977年に建てられたこの発電所は、地震発生地域にあり、持ち主のEDFの案内でエコロジストと地域の議員らが視察した際に、核格納容器のすぐ下にあるコンクリートの床が、1.5mの厚みしかないことに言及し、建設コンセプト自体に欠陥があったことがわかった。EDFは、中からコンクリートを流し込んで厚みをつける予定だという。ちなみに福島第一のコンクリート床の厚みは6m。このコンクリートが、メルトスルーをしたときにマグマを受ける。(LCP TV) またしても株価暴落に戦々恐々 - ギリシャ負債を背負ったフランスの銀行が軒並み株価下落。大手BNP、クレディ・アグリコル、ソシエテ・ジェネラル3社は、ギリシャのみならずイタリア、スペインにも数百億ユーロを貸借しており、フランスの銀行倒産がだいぶ危ぶまれ始めている。(フランス2TV) My opinion: ブログが原発事故の記事だらけになってしまった。本来、なかなか日本に届かないフランスの現代文化の話を書けたらいいと思ってはじめたブログだったのに、サルコジの文化嫌い(フランスも朱に染まれば赤くなり)で、文化省が「大」縮小。予算は増大の一途だと偉ぶっていた文化大臣の下でいつのまにか文化予算が失業手当代わりに使われていたり、現代文化政策30年がすっかり捻じ曲げられてがっかりしたり。そして今年の日本の大災害。「文化は戦いだ・・・」、とこのブログで書き始めたけれど、これだけリアルタイムに戦わなければならないものを目の前に突きつけられたら、しばらくは成り行き(自発性というべきか)に任せるしかないとも思う。これもまた人生の戦い・・・。別に戦いが好きなわけではないんだけれど。(S.H.)

走るチェルノブイリィ

フランスのバース・ノルマンディー地域に位置するラ・アーグ(La Hague)市の放射性物質再処理場で処理不可能の放射性廃棄物154トンが、11月5日、特別編成の貨物車でドイツのゴルレーベン(Gorleben)にある放射性物質貯蔵庫に向けて出発した。特別編成の貨物車のうち3台のワゴンは軍隊が占め、路程はフランスおよびドイツ側で約3万人の警察や軍隊に厳重に見守られている。出発直後にカンで抗議団体に阻まれ、貨物車は一時ストップ。ドイツに向けて再出発した貨物車で運ばれている廃棄物は、チェルノブリィの原子炉事故でばら撒かれた放射性物質の2倍に近い量といわれており、「貨物車で運ぶ史上最大の放射性物質」とみなされ*、2万人近いドイツのエコロジストやグリン・ピースが8日まで抗議運動を展開する予定だ。フランスでは、バローニュ、カン、ルーアン、アミアン、ナンシー、ストラスブールで抗議集会。グリン・ピースは、危険なため列車の運行を妨げないよう呼びかけている。 フランスTF1 TV ウエブページ *2008年にも同じようにラ・アーグからドイツまで放射性廃棄物を積載した貨物列車が走ったが、このときの廃棄物のほうが放射性は高かったという。 貨物列車が積んでいるのはドイツの原子力発電所が出した廃棄物をフランスの再処理工場が再利用できるプルトニウムとウラニウムを抽出し、最終的にのこった残留物を厳重にコンテナに包んだもので、ドイツの廃棄物はドイツへ戻るという契約の一環となっている。この最終残留物は放射性が高く、貨物車をサーモ・スキャナーでスキャンしたグリン・ピースの一員はPCをみながら、「ワゴンの外側がすでに32度という温度を指していることから、コンテナ内部の温度は相当に高いことが推測されます」。 ノルマンディーのラ・アーグの再処理工場は、主にドイツ、オランダ、イタリア の廃棄物を処理している。最終残留物は数万年放射能を出し続けるというが、ちなみに、ヨーロッパにある148基の原子炉が出す最終残留物の量は、年間約7000立方メートルといわれている。(フランスTV)